INTERVIEW

桂 寧志

YASUSHI KATSURA

デジタルサービス企画部
企画Gr

2009年入行

桂 寧志

アクセラレータ・プログラムを通して
新たなビジネスを続々と送り出す。

桂 寧志

何をしているのか、それを知って
銀行のイメージが変わった

高校時代は理科系の科目が好きで、大学では感性工学と呼ばれる分野の研究をしていました。
人の感性や感覚という曖昧なものをいかに数値化していくかをテーマとしたものです。就職活動のときは金融業界を全く意識していませんでした。ただ、父親が銀行員で、法人・リテール・本部とさまざまな業務に就いていたので、話くらいは聞いてみようと説明会に足を運んだのです。それが三菱UFJ銀行への就職につながりました。
話を聞いて本当に驚きました。「お金を預かって貸すだけの仕事」くらいにしか思っていなかったのですが、事業承継のためにオーナーの相談相手になったり、M&Aにおいて企業買収のサポートをしたり、さらにプロジェクトファイナンスで海外の大型プロジェクトを支援したりと、実にさまざまな業務を展開しています。
採用面接でも、具体的に何をしているか社員や役員の生の声を聞くことができました。パンフレットやホームページを読むだけでは知ることができない臨場感のある内容です。 また、面接を重ねていくうちに自分の考えが整理され、ブラッシュアップされていきました。最終的には、三菱UFJ銀行で法人営業をしたい――そう思って入行しました。
その後、8年間にわたり融資関連業務を担当し、現在のデジタル企画部に着任しました。銀行でのファーストキャリアとして、銀行業務の基幹となる業務に従事できたことは、非常に大きな意味があったと感じています。

桂 寧志

熱意を持ち自信を持つこと
それが人を動かす

私はまず東大阪中央支店に配属となり、中堅中小企業を担当しました。
「漫然と融資をするのが銀行の仕事ではない。お客さまを深く知り、どうすればお客さまのお役に立てるのか、それを考え抜いて提案しなければだめだ」と教わったことは今も心に残っています。
入行4年目にコーポレート情報営業部に異動し、営業店が抱える難易度の高い融資案件を、プロフェッショナルとして支援する業務を担いました。お客さまの財務内容を理解した上で、資産・負債・キャッシュフローを切り口に財務提案を行い、通常の契約では融資が難しい場合に、独自のスキームや契約につける特約事項の検討をし、オーダーメイドの融資契約を纏めていくのが主な業務です。
企業の経営者、営業店の担当者、本部の審査部など、1つの融資にも多くの関係者が存在し、当然、それぞれの想いがあります。融資を受ける側からすれば、複雑な特約などはない方がいいに決まっています。しかし、特約条項などの条件をつけることでリスクを最小化することができ、結果として金額や期間、資金使途などをお客さまの希望に近づけることにも繋がります。
――金融機関として取れるリスクを見極めながら、関係者全員が納得できる最大公約数はどこなのか、落としどころを探りながら融資を実行するのが私の役割でした。
この業務で学んだことは、さまざまな融資のノウハウはもちろんですが、何より「熱意と共感」の大切さでした。当事者となるすべての人に熱意と自信をもって提案し、理解と共感を得ること――それがあれば立場や組織が異なっても、同じベクトルで前に進んでいくことができます。
私はコーポレート情報営業部で5年を過ごした後、公募の機会を捉えて現在のデジタル企画部に異動しました。8年間の融資関連業務からは大きく離れることになりますが、MUFGが直面するデジタルトランスフォーメーションという大きな課題に、私のそれまでのキャリアを活かして挑戦したいと思ったからです。

MUFGの各社と
スタートアップをつなぐ

デジタル企画部での私の主な業務は、MUFGのオープンイノベーション事業の一環である「MUFG Digitalアクセラレータ」の運営です。このプログラムは2015年に邦銀初の試みとしてスタートしました。
MUFG各社や当行の各部署とスタートアップが協力して新たなビジネスを作っていこうというものです。公募により5から8社を選定します。4ヵ月間のプログラム期間中、事業プランのブラッシュアップ、プロトタイプの構築、事業プランの方向性に合わせたパートナー企業の選定など、事業化に向けたステップを経て事業の立上げをめざします。私が着任したのは第3期目が始まろうとするときでした。
運営を担って感じたことは、プログラム関係者の本気度と熱量の高さです。関係者とは、スタートアップ、MUFG各社や当行の各部署、そしてベンチャーキャピタリストや弁護士など、ビジネスモデルのブラッシュアップや事業立ち上げに関するアドバイスを行うプロメンターと呼ばれる方々です。限られた時間の中で議論を重ねていき、参加していただいたスタートアップの方々からは「青春時代のやり直しのよう」「高校の部活を思い出した」「ここまで本気で取り組めるプログラムはない」といった声が上がるほど、全員が本気のプログラムです。その熱量をしっかりと受け止め、事業化に向けて一定の方向付けをしつつ誘導していくのが事務局としての私の役割です。
いくつもの事例がありますが、私が初めて関わったプログラムでは、参加したスタートアップと協働して開発を進め、2019年6月に当行でオンラインレンディング(インターネット上で申し込みから審査まで完結する小口の融資)をリリースすることになりました。オープンイノベーションが持つ大きな可能性を改めて実感するとともに、その誕生に貢献できたことでデジタル企画部に転じてよかったと改めて感じました。

桂 寧志

「MUFG SPARK」を拠点に
オープンイノベーションをさらに進めていく

アクセラレータ・プログラムはこれからも継続していきますが、オープンイノベーションを加速させるためには、私自身がMUFG各社や当行が今何を課題にしているのか、「何をやりたいか」「何が足りないのか」を深く、かつ具体的に理解していく必要があると思っています。
スタートアップの事業アイデアを受動的に受け止めるのではなく、そこにMUFGの課題解決の糸口がある、だから一緒にビジネスをしたいと能動的に判断できるようになれるかが問われていると思うのです。ただのつなぎ役としての事務局なら誰でもできる。そこに何を求めるのか、“軸”と“熱意”をもってこそ私の存在価値があるはずです。
私の入行後の融資関連業務でのキャリアは8年に及びました。デジタル企画部への転身については、それまでのキャリアが継続できなくなるのではという不安があったことは事実です。しかし、実際にアクセラレータ・プログラムの運営を担う中で、スタートアップ企業とMUFG各社や銀行各部署、そしてプロメンター達を一つにつなぎ、イノベーションを起こしていくためには、それぞれの想いを理解し、共感しながら、三者を橋渡しする存在が欠かせません。そうでなければ、せっかくの想いやアイデアが形にならずに消えてしまいます。そのつなぎ役こそが私であり、共感を軸に想いを一つにすることは、営業店とコーポレート情報営業部で学んできたことでした。そこで培った8年間のキャリアは、私の中で形を変えて受け継がれ、結実していると感じています。
アクセラレータの拠点として活用してきた兜町のワーキングスペースも、もっとイノベーティブな場所にしようと「MUFG SPARK」としてリニューアルし、拡張しました。アクセラレータ・プログラムやMUFGのさまざまなプロジェクトの拠点となるプロジェクトルーム、関係者が自由に交流できるワーキングスペース、そしてイベント会場として使えるイベントスペースを備えています。この場所からMUFGの未来を切り拓くために、さらに力を尽くしていきたいと思っています。