INTERVIEW

上田 慎一郎

SHINICHIRO UEDA

市場企画部 ポートフォリオ運用室 ポートフォリオ運用Gr

2014年入行

上田 慎一郎
  1. 2014
    円貨資金証券部 ALM戦略Gr(現:トレジャリー統括室)
  2. 2018
    資金証券部 外貨ALM操作Gr
  3. 2021
    市場企画部 ポートフォリオ運用室 ポートフォリオ運用Gr
  4. 2023
    資金証券部 米州資金証券Gr

MY JOB

市場企画部ポートフォリオ運用室で、ポートフォリオマネージャーを務めています。当行と三菱UFJ信託銀行の行員が協働し、オルタナティブアセット(※1)を含む投資運用や、分散ポートフォリオ理論に基づくアセットアロケーション(※2)の計画策定などに携わっています。相場観や投資戦略が異なる信託銀行のメンバーと議論を交わす中で、日々新たな知見を得ています。
※1 オルタナティブアセット:上場株式や債券などの伝統的資産と呼ばれるもの以外の新しい投資対象。農産物や天然資源、不動産、未公開株など、さまざまな資産が該当する。
※2 アセットアロケーション:株式や債券などの投資資産に対する資金配分を決めること。収益性の異なる金融資産に分散して投資することで、運用リスクの低減を図り、安定した収益をめざす。

上田 慎一郎

PDCAを回しながら、日々最適をめざしてアジャストしていく。

MUFG初のグループ横断プロジェクトでシナジーを発揮

私が所属する市場企画部ポートフォリオ運用室は、MUFGの新たな試みとしてグループ横断で設立された部署です。当行と三菱UFJ信託銀行が、マーケットに関するお互いの知識や経験を持ち寄ることで、従来とは異なる投資にチャレンジしています。私の仕事はポートフォリオマネージャーとして分散ポートフォリオを運営することです。株や国債、社債など、さまざまな金融商品に幅広く投資することで、リスクを分散し安定的な収益をめざします。特筆すべきは、オルタナティブアセットと呼ばれる新たな投資対象も含め、ポートフォリオを運営する点です。あらゆる商品取引に関する知識や経験が求められるため、チーム内でお互いの知見を共有することが重要です。当行には、株や債券などの伝統的な資産投資の知見がある一方、オルタナティブアセットについては信託銀行により多くの知見があり、彼らから日々多くのことを学んでいます。運用スタイルについても、当行の従来の運用では中期的な視点でリターンを求めることが多いのですが、クレジット投資(※3)なども行う信託銀行では、より長期的なスパンで投資する傾向があります。こうした投資戦略などの違いから、同じマーケットを見ていても視点が異なり、お互いの相場観や知見を共有し、議論することでシナジーが生まれます。取り扱う商品が多いことから、一つの資産を深く分析するより、マーケットを広く捉えることを意識します。その結果、まったく関係ないと思っていた資産の動きから別の資産の動向に関する予兆がつかめるなど、全体を通して見えてくる部分があります。こうした視点を持てるのは、収益性の異なる金融資産に分散して投資を行うアセットアロケーションならではだと実感しています。これまでとは違ったアプローチでマーケットと向き合えることに日々新鮮さを感じています。
※3 クレジット投資:信用リスクを内包する商品を取引する投資。貸出債権や社債、さまざまな信用リスクを加工して証券の形で売買する証券化商品、信用リスクを原資産とするクレジットデリバティブなどがある。

仮説と結果の差分を検証し、常により良い戦略や手法を追求する

私は学生時代に物理学を専攻し、仮説・実験・検証を繰り返し行ってきました。このPDCAサイクルを回す習慣は、現在も非常に役立っています。この仕事においても、仮説を立て実行した結果との差分を検証し、ギャップがなぜ起こったのか分析するというサイクルをしっかりと回していくことが重要です。自分たちがどのようなポジションをとっていくか、自身の相場観を養い、リスクとリターンに基づき最適な資産構成を考えるポートフォリオ理論などを用いて論理立てて考えます。その結果、自身の投資判断によってどれくらい収益を拡大できたのかがチャートの変動を通してダイレクトにわかります。自身の考えた戦略や投資手法が大きな収益につながった際には、言葉にできない達成感が得られます。もちろん、投資は100%勝てるものではなく、時には負けることもあります。仮説が外れた場合には、何が間違っていたのかを見直し、投資配分を変えるなどの調整を行いながら、そのときどきで最適だと思うものに近づけることが重要だと実感しています。

自身の強みを増やし、どのような変化にも対応できる瞬発力を身につける

マーケットはほかの業界に比べ、変化が速い業界です。金融業界でもDX推進がフォーカスされる中、10年後にはどのような知識やスキルが求められているかわかりません。私が担当するポートフォリオマネージャーという仕事も、将来的にはデジタル技術の活用により、人間が判断する割合が減っていくかもしれません。しかし現時点においては、まだ当分は人間にしか務まらない仕事だと思っています。仮に統計的観点から高確率で勝てると判断しても負けることはあります。その際、統計的にあと何回やれば勝てると言われても、負ければ何十億円もの損失が出る取引を確率論のみに従い行うことは現実的ではありません。マーケットの思惑など人間にしか読み切れない部分も分析し、次に自身がとるポジションについて理路整然と説明する能力が必要です。そういった点から、すぐにはデジタルに代替されないと思いますが、だからといって何も変化しないとも思えません。今後、業界にどのような変化があるのか、まだ誰にもわかりませんが、どのような環境でも「上田だからできた」と言われる仕事を一つでも二つでも残していきたいです。そのためには、自ら新しい知識やスキルを積極的に習得する姿勢が求められます。行内研修や書籍、さらには行外の運用会社や証券会社などからマーケット情報を積極的に収集するなど、常に自己研鑽に励むことで自身の強みを増やしたいです。そうしてどのような社会の変化にも対応できる瞬発力を身につけ、マーケット部門から安定的に収益を出すことで、今後もMUFGの成長に貢献していきたいです。

上田 慎一郎