経済状況
(1)仏経済は概して内需主導で、緩やかな成長が特徴。一方、慢性的な雇用問題を抱える。租税・社会保障負担率の高さや、各種規制の強さも仏経済の特徴。
(2)世界的金融・経済危機の影響により、2008年半ばから景気が悪化し、2009年通年では戦後最低のマイナス成長を記録した。その後、2010年、2011年と続けてプラス成長を記録し経済は回復基調に転じたが、欧州債務問題の深刻化に伴って、2012年、2013年ともに+0.3%と低成長に終わった(数字は仏国立統計経済研究所による)。2014年も景気回復は足踏みを続けており、仏政府は成長率は+0.4%に止まると見通しを下方修正している。
(3)オランド政権下では、2012年11月の「競争力及び雇用のための税額控除」導入の発表に続いて、2014年1月には企業の社会保険料負担軽減が発表されるなど、労働コスト削減による企業の競争力回復を主眼とする経済政策(「責任協定」)を実施。企業向けの行政手続きの簡素化にも取り組む。
(4)財政収支については、危機に伴う税収減や景気刺激策による歳出増が大きく響いて、財政赤字の対GDP比は2009年に-7.2%、2010年も-6.8%と高い水準を記録したが、2013年は-4.1%まで改善した。2015-17年には累計500億ユーロの歳出削減(ベースライン比)が予定されているものの、成長鈍化と低インフレ状況に鑑みて2015年予算法案では財政収支対GDP比-3%以内という目標の達成を2015年から2017年にさらに2年延期している。
(5)失業率は10.8%(2013年 出典:IMF)と1999年来の高い水準となっている。
(出典:外務省)
日系企業進出の目的・メリット
- ◯人口65百万人、GDP世界第5位の経済大国。
- ◯欧州最大の面積。7ヵ国に隣接する好立地と整備された交通網を背景に交通の要所として発展。
- ◯主要産業は化学、機械、食品、繊維、航空、原子力など。工業においては宇宙・航空産業、原子力産業などの先端産業が発達。
- ◯農業は西欧最大規模。
- ◯エネルギー政策では発電量に占める原子力発電の割合が総電力量の80%と世界で最も高いウエイトを占める原子力大国。関連先端技術・再生可能エネルギー分野への投資も積極的。
- ◯近年は大規模なM&Aの事例が増加。
日系企業の進出動向
- ◯製造業進出が30%超と西欧他国比、高割合であるが、近年は製造業の進出が減少。
- ◯分野は自動車・電機・ソフト開発等であり、近年は化学・医薬の投資が増加。
- ◯近年は太陽光・原子力関連ビジネスなど新興エネルギー分野の投資も増えてきており、一部企業では地場研究機関と産学共同で行うケースもある。
- ◯近年、アフリカのフランス語圏地域の投資経由地として注目を浴びている。
現地における当行のステータス・強み
- ◯横浜正金銀行時代を含めるとフランスにおいて100年以上の業暦を有しており、日系企業のみならず非日系業務も行っている。
- ◯フランス銀行共通のサービスである『EBICS』の他、当行固有のサービスGCMSも併せて提供している。『EBICS』を利用すれば、手形取立ても可能であり、経理事務の合理化・省力化に寄与。
(※2014年6月現在)
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農業大国、エネルギー先進国、自動車産業国といった代名詞で語られるフランスは、EU内でも屈指の経済大国。欧州債務危機、労働問題など、厳しいビジネス環境下においても、日系企業は積極的なM&Aや設備投資をフランス国内で行っており、多様な金融ニーズ、ビジネス機会がある。
世界各国でビジネスを拡大するグローバル日系企業にとって、フランスでのビジネスはフランスだけでは完結せず、常に他地域の商流と密接な関係を持つ。例えば、欧州統括会社が他国にあるケース、工場や販売拠点が欧州各地域、時に中近東、アフリカ地域にまで点在しているケースがあり、お客さまの金融ニーズに応えるには国を越えた商流、各地域事情を踏まえ提案をする必要がある。
このような多様なニーズに応えるため、店内の当地スタッフとの協働はもとより、当行他拠点、本部との連携がより一層重要になる。地域によって法律や税制、商習慣が異なるなかでグローバル企業は様々な課題を抱える。フランスの各種規制、ビジネス環境に精通するのはもちろんのこと、世界各地域の「仲間」との連携を通じ、グローバル企業の当地での事業展開に主体的に関与していく。日本、欧州各地域、中近東アフリカ地域に加え、時に米州、アジア各拠点とも連携し、当行の総合力でお客さまのニーズに応えていく醍醐味がある。日々、世界中の「仲間」と連携し、日系企業の当地での金融サポートを行っている中で、だいぶ地球を小さく感じるようになった。
2000年に入行後、一貫して支店現場営業。入行4年目に韓国語学研修生として初めての海外赴任、その後、ソウル支店で日系企業取引を担当。2010年より2度目の海外赴任としてパリ支店日系課に着任し、現在は当地スタッフらと協働し、日系企業取引の推進のみならず、システム移行、事務改革など各種全店プロジェクトも推進している。外国人と仕事をする際は、異文化を尊重しながら、日本流の背景を丁寧に説明するように努め、仕事の「現地化」を推進している。異文化の壁はいつも高い。だから、積極的に異文化に触れること、各地の歴史を学ぶことを続けている。日本のグローバル化推進には、まずは自分がグローバル人材になろうと、訪れた国は50カ国を超えた。世界中を訪れ、日本をもっと強くしたい、世界と互角以上に渡り合える国にしたいと感じる。当行でその想いを何とか形にしたい。