経済状況
(1)英国経済は、2007年までは、金融・不動産業が牽引し、16年間にわたる長期成長を達成。その後、金融危機の影響により大きく落ち込み、現在まで景気低迷中。2011年第4四半期から、3期連続マイナス成長となった後、2012年第3四半期はオリンピック等の影響で4四半期ぶりにプラス成長(1.0%)となったが、第4四半期は再びマイナス成長(-0.3%)に転じた(2012年の通年の成長率は0.2%)。今後も低成長の継続が予想されており、2012年12月の経済・財政見通しでは、2013年の成長率を1.2%と見込んでいる。
(2)経済低迷長期化の要因は、ユーロ危機による欧州向け輸出の減少と家計消費の低迷。失業率は、2011年下半期に8%を超え、以降同水準を横ばい。失業者数は約250〜260万人。特に若年者失業率は20%、失業者は約100万人であり、深刻な政治社会問題となっている。
(3)財政健全化政策により、市場の信頼を維持。1)「構造的経常財政収支を2017年度までに黒字化」(財政収支目標)を主目標に設定し、2)「純債務残高対GDP比を2015年度までに減少」(債務残高目標)を補完的な目標に位置付けて政策を推進。2012年12月の経済・財政見通しでは、1)構造的経常財政収支は2016年度から黒字化し、2)純債務残高対GDP比は2015年度(79.9%)をピークとして2016年度から減少するとし、債務残高目標の達成見通しを1年後ろ倒ししたものの、財政収支目標の達成可能性が高いことから、英国財政は依然として目標達成に向けた経路を進んでいると結論付けている。金融政策では、最低水準の政策金利(0.5%)を維持するとともに、量的緩和政策として国債等の買取りを実施。
(4)政府は、緊縮財政の中、回復には何よりも投資と輸出の促進が必要との認識の下、1)クリーン・エネルギー、2)上下水道、3)交通、4)情報通信、5)治水、6)廃棄物処理等の経済インフラ投資を進め、法人税の引下げ、経済特区の新設と拡大や各種優遇策により欧州一のビジネス環境整備をめざす。併せて、中小企業による輸出、新興国向け輸出を強化。重要産業(医療・ライフサイエンス、最先端技術等)への集中的支援を通じた持続的・長期的成長をめざす。
(出典:外務省)
日系企業進出の目的・メリット
- ◯人口62百万人、GDP世界第6位の経済大国。
- ◯主要産業は電機機器・航空機・化学・エレクトロニクス・石油・ガス・金属・金融など。
- ◯農業では大麦・菜種が、畜産では羊毛・乳業などの生産が世界10位以内に入る農業畜産大国としての一面もあり。
- ◯1990年代、自動車関連での製造業進出が増加。2000年以降、中東欧地域のEU加盟で当該地域への製造業シフトの動きが見られ、R&Dセンターとして拠点活用する事例が見受けられる。
日系企業の進出動向
- ◯欧州最大の日系企業受入国(東洋経済データより)。
- ◯多くが事業拠点・統括拠点を設置。
- ◯社会・経済インフラに加え、英語圏の強み。
- ◯商社・メーカー・化学・製薬など多岐に亘る業種の進出事例があるものの、欧州統括、特に金融統括会社が多いことも特徴の一つ。
- ◯欧州市場への近接性、金融関連人材確保の容易性、比較的柔軟な労働規制等が背景として挙げられる。
現地における当行のステータス・強み
- ◯ロンドン(支店)のみならず、バーミンガムに出張所を有しており、英国における拠点網が充実している。
(※2014年6月現在)
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入行以来営業一筋。東京丸の内で総合商社を担当していた入行8年目の秋、待望の海外勤務としてロンドン支店赴任の辞令を受けました。当行は、ロンドンに欧州本部を構え、傘下の子会社も合わせて総勢1,500名の行員を抱える日系邦銀としては最大の規模を誇り、日系企業のみならず欧州系企業をサポートしています。 私の所属するロンドン支店は、日系及びアジア系企業を担当する営業セクションで、欧州本部の一部です。欧州本部には、営業、企画、人事、オペレーション、プロダクトオフィス(プロジェクトファイナンスを担当)等の数多くの組織があり、フルバンキング体制を構築しています。2011年1月には、英国のロイヤルバンクオブスコットランドからプロジェクトファイナンスの資産及び人員の一部を継承し、欧州における一層の事業拡大を図っています。 日本で総合商社を約5年担当し、国内から見た「海外」には慣れていたはずの私にとっても、英国シティの本場のバンカー達と共に働くことは、非常に興味深く、英語でのコミュニケーションのみならず、これまでの考え方を覆すとても刺激的な毎日を送っています。
2011年4月、ロイヤルバンクオブスコットランドから移ってきたメンバーと共にある日系企業がスポンサーとなるプロジェクトファイナンス案件への参加を検討する機会が訪れました。その後数ヶ月間を費やし、調査を重ねていたときのこと、これまでの当行の許容水準、企業としてのカルチャーを考えた際に乗り越えることのできないような「ハードル」が我々の目の前にあらわれました。正直、私はそのショッキングなニュースを聞いた瞬間、「この案件は終わりだな」と青ざめ、どのようにお客さまに説明をしようかという「守りの姿勢」にすぐに頭が移ってしまいました。ところが、私以外のチームのメンバーは、「攻めの姿勢」を崩さず、如何にしてその「ハードル」から生じるリスクを極小化し、如何にして行内の審査セクションを説得するかという観点で動き始めていました。一人は過去の事例や他行のスタンスの確認、一人はリスクを極小化するための手法を弁護士に相談・・・。自分一人だけが弱腰になっていることにすぐに気づいた私は、その「ハードル」のリスクがどの程度のものかを分析することにしました。 最終的には、その「ハードル」の高さを、営業セクション、プロダクトオフィス、審査セクションの皆で認識し、そのリスクを受け入れるという結論で合意。2012年6月、当行が銀行団の取りまとめ役に就任する形で無事に案件を成約することができました。 この案件は、私に「英国シティのバンカー達との融合により、この銀行は進化している」と強く感じされると共に、「簡単にあきらめず、発想を豊かに攻めの気持ちを忘れない」というビジネスパーソンとしての初心を思い出させてくれた非常に大きな出来事でした。バブル崩壊を経て、強靭な足腰を得た邦銀そして日本の銀行員は、保守的な考え方に偏る傾向があるような気がします。勿論、「守り」も非常に大切なことですが、商売は、「攻める」ことからしか生まれません。日本企業としての企業文化、日本人としての気質を大切にしながら、欧州系のお客さま、そして国籍の異なるチームメイトから数多くのことを学びながら、企業としても個人としてもここロンドンで成長し続けたいと思っています。