INTERVIEW

中西 美樹

MIKI NAKANISHI

企業会計基準委員会(出向)

2011年入行

中西 美樹
  1. 2011
    日本橋支店・支社
  2. 2011
    財務企画部主計室
  3. 2016
    産休・育休
  4. 2017
    財務企画部主計室
  5. 2023
    企業会計基準委員会(ASBJ)(出向)

MY JOB

ASBJ(※)に出向し、本邦会計基準の開発や国際会計基準審議会の動向把握に携わっています。新しい会計基準の開発は、すべての産業と接点のある金融機関にとってインパクトの大きい事象です。MUFGはもちろん、金融業界全体の財務報告がより有用な開示となるよう、日々関係者と議論を重ねています。

※Accounting Standards Board of Japan:日本の会計基準の設定主体。日本基準を高品質で国際的に整合のとれたものとして維持・向上を図るほか、国際的な会計基準の質の向上に貢献すべく意見発信を行う。

中西 美樹

会計規準に関する知見を深めながら、より有用な新基準を追求。

財務諸表の作成者としての知見を活かし、新たな会計基準の開発に貢献

大学では経済学部で会計を専攻していました。会計はすべての企業に不可欠な要素であり、企業の分析や比較を行ううえでも必要になります。国内だけでなく、グローバルにおいても変わらない会計の普遍性にひかれ、勉強を続けました。その結果、大学3年次に公認会計士の論文試験に合格することができました。就職活動では、幅広い金融商品と多種多様なスキーム・取引に触れられることから銀行に興味をもちました。中でも当行はコース別採用により入行1年目から会計の専門性を高められること、さらに国内最大の規模とグローバルネットワークによりさまざまな業務に挑戦できる点に魅力を感じ、入行を決めました。
入行後は財務企画部主計室で決算業務を担当し、決算短信や有価証券報告書などのディスクロージャー資料の作成に携わりました。また、クロスボーダーでの組織再編などの重要な事象が発生した際には、会計監査人と協議するだけでなく、財務に与えるインパクトを分析し、経営層に報告する業務も担っていました。こうした業務を経て、現在はASBJに出向しています。出向先での主な業務は、会計基準の開発や国際会計基準審議会の動向を把握することです。主計室で財務諸表などの作成に携わった経験を活かし、銀行の実務や開示情報、取り巻く状況などを踏まえて作成者側の視点から積極的に意見発信を行い、基準開発に取り組んでいます。

現行の基準をどこまで国際基準に近づけるか、多角的な視点から議論を深める

現在、私が主に担当しているのは、金融資産の減損に関する会計基準の開発です。この業務では、現行の日本基準を国際基準であるIFRS(※)と同等の基準に改正していくことが求められます。現行の日本基準とIFRSでは、与信関係費用という同じ勘定科目でも算出方法が異なるため、日本基準で作成された財務諸表では海外企業との単純比較ができません。グローバル化の進展とともに、企業間国際比較のニーズは高まっており、国際基準との整合性が取れればグローバルでの資金調達や組織再編などの可能性が広がります。しかし、そこで問題になるのが、日本特有の商品や処理、実務慣行などにより、単純にIFRSに置き換えられないという点です。さらに新基準ができることで、より詳細なデータの整備が必要になったり、従来の決算システムでは対応できなくなったりと、移行には膨大な手間とコストがかかります。これらの事情から新基準をどこまでIFRSの水準に合わせるのか、すべての企業に同水準の基準を求めるのかなど、さまざまな論点が発生します。ASBJの委員や専門委員は監査法人や大学教授、アナリストなど、さまざまな専門家によって構成されており、その中で日々活発な議論が行われています。それぞれ立場が違えば考え方も異なるため、意見を取りまとめる難しさを感じる一方、新しい意見に触れる中で自身の視野が広がるおもしろさを実感しています。特に投資家をサポートするアナリストや証券会社など、財務諸表を利用者する方々の意見については、これまで直接聞く機会がなかったため、どのようなポイントを見て分析しているのかを知ることができるのは作成者として非常に有益です。全員が納得する結論に導くことは容易ではありませんが、多くの人が納得できる基準の開発をめざし、ベストを尽くしています。

※International Financial Reporting Standards:国際財務報告基準のこと。国際会計基準審議会(IASB)によって設定された会計基準の総称。

中西 美樹

国際基準に関する最先端の知識も吸収し、将来的にMUFGに還元したい

また、ASBJでは国際的な意見発信を行っており、国際会議の傍聴などを通して最新のIFRSの動向や世界における潮流を把握できます。各国で今どのような議論が行われているのか、問題提起の背景や結論に至るまでのプロセスをリアルタイムで知ることができ、日々発見があります。私のこれまでを振り返ると、学生時代から「新しい世界や知識に触れ、自分の視野を広げたい」という想いを原動力に、会計の知見を深めてきました。そして今、ASBJで新しい情報や考え方に触れ、自身の成長を実感できる業務にやりがいを感じています。ここでの経験を活かし、財務諸表作成者、利用者のいずれの立場からもMUFGのディスクロージャーを考えられるようになり、将来MUFGでIFRSが採用される際には、行内におけるIFRSのエキスパートとして頼られる存在になりたいです。そのためにも、今後もASBJでより多くの知識や考え方を吸収し、IFRSについての知見を深めていきたいです。