クレジットリスクの計測高度化でビジネスを推進する

世界のトップバンクに肩を並べるモデルで経営に貢献する。

加藤 準平
01.クレジットリスクという
“本家本丸”の世界に挑む
学生時代は研究室にて物理の研究をしていましたが、宇宙物理という私の研究テーマに直結する仕事の分野はなかなかありません。その中で金融の世界に物理や数学、分析の能力が活かせるフィールドがあることを知りました。研究とは違うことへチャレンジをしてみたく、かつFTコースが用意されていることにも魅力を感じ、入行しました。
入行時はクレジットリスクを担当する部署を希望しました。クレジットリスクは銀行の抱えるリスクの中で最も大きなものであり、「本家本丸のリスク」ということができます。他業態にはない、銀行ならではの業務ができると思いました。
希望通り融資企画部に配属となり、融資企画部所属のクオンツとしてデリバティブ取引に係るクレジットリスクである、CCR(カウンターパーティ クレジットリスク)、CVA(Credit Valuation Adjustment:信用評価調整)のモデルに携わっています。デリバティブ取引は、将来の時価が変動し、プラスにもマイナスにもなります。当行がプラスの時価を持っているときに顧客企業がデフォルトすれば、その時価を失うことになります。このCCRと、それをデリバティブ取引の時価に反映させるCVAを見積もることが必要です。CVAは近年のデリバティブ業界において最も注目されている分野の一つです。入行以来の私の業務は、一貫してこのCCR、CVAに関わるものでした。
02.東京を代表し、ロンドンとニューヨークの
クオンツとの交渉をまとめる
その業務のなかで、当行グループ会社ロンドンとニューヨークの現地で働くクオンツと、CCRモデルの統一を図ったことがあります。入行3年目に担ったミッションでした。グループ・グローバルで統一したリスクモデルを持つことは、経営の正しいリスク認識を促すだけでなく、各地のクオンツの知見を集結した世界に通用するモデルをつくることに繋がります。ロンドン、ニューヨークのクオンツたちは自分たちが使っているモデルが最も優れていると自負していますし、既に3つのバラバラなシステムを利用している中でそれを変えるのは容易ではなく、巨大なシステム開発プロジェクトとなりました。その中にあってもクオンツとして妥協せず、不明点は理解できるまで聞き、丁寧に議論を重ねて、統一まで道のりをつくっていきます。学生時代の英語文献を読む習慣や海外での研究発表などの経験も生き、約1年を掛けてそれまで全く異なる進め方をしてきた各国のクオンツを取り纏めて、三者が納得するゴールにたどり着くことができました。
その任務に引き続き、当行が新たに開発したCCRリスク計測モデルについての金融当局の承認獲得業務を担いました。承認が得られれば、自身で考案した、より高度なモデルを適用することができます。リスク計測においては、“リスクがわからない場合は保守的に”計測するのが原則です。高度なモデルを用いれば、今までわからなかったリスクを解明した分、リスクを適切に見積もることができます。銀行は自身のとったリスクの大きさに応じた引当金や自己資本を持つので、リスク計測の精緻化は資本運営を改善し、ビジネス拡大へ大きなインパクトをもたらします。承認にあたっては当局の優秀なクオンツと議論できるよう、急速にキャッチアップし行内で一番といえる知見を獲得し、説明と交渉に当たりました。「私が当行の代表であり、他に説明できる人はいない」――責任感と自信を持って業務を進め、無事承認へのプロセスを進めることができました。
加藤 準平
03.クオンツチームは部内で
一番よく笑っている
入行以来私は、グローバルレベルでのシステム統一や当局からの承認の獲得などCCR高度化やCVA導入のプロセスを担ってきました。現在も、世界のトップ銀行と肩を並べるリスク管理体制の導入に向け、グループやグローバルのクオンツたち、セールスや審査担当、システム開発チームなどバックグラウンドの異なるさまざまな関係者を交えて業務を進めています。
銀行は全員が理系のバックグラウンドというわけではありません。私が所属する融資企画部も、経済学部や法学部などの文系出身の同僚や先輩が多数在籍しています。今まで知らなかった新しい分野の人に出会えたことは新鮮でした。部内の仲間は私がクオンツであることを尊重してくれ、分析や提言には静かに耳を貸してくれます。また、クオンツチームは気軽に相談できる先輩やよく学ぶ後輩が多く、チームワークも良くて部内で一番笑っているかもしれません。
FTのフィールドは金融工学やデリバティブだけにとどまらず、ITや数理分析などさまざまな分野に大きく広がっています。さらに学び、業務領域を広げ、最先端を駆け続けるMUFGにしていきたいと思っています。