INTERVIEW

山下 麗人

REITO YAMASHITA

コーポレートバンキング企画部
CPM室

2010年入行

山下 麗人

市場業務の経験を活かし新たな分野に挑戦

CPMへの取り組みを通し、全行的な視点で
進むべき方向を考えていく。

山下 麗人

デスククオンツとして、
トレーダーの判断をサポートする

学生時代は物理の世界で理論的な研究をしていました。先輩を通して金融工学の世界を知り、こういう研究の活かし方もあるということを知りました。また、三菱UFJ銀行では自分が進めてきた研究が活かせる業務の幅が広く、いろいろな可能性に挑戦できると感じたことも入行の大きなきっかけです。
最初の配属は金融市場部でデリバティブ(金融派生商品)を扱うトレーダーのサポート業務を担いました。クオンツの中でも、トレーダーの一番近くにいる「デスククオンツ」と呼ばれる存在です。価格計算モデルそのものを開発する業務ではありませんが、刻々と変わる為替環境や金利環境を見ながら、金融工学的な知識に基づき統計学的な処理も進めながらレポートし、トレーダーの判断をサポートしていきます。ダイナミックに動くマーケットに接しながら、自分なりの考えを示し、それが正解か間違っているのか、日々答え合わせをしながらスキルを磨いていくという業務はエキサイティングでした。モデル開発者とトレーダーという高度な専門性を持った両者の間をリエゾンする存在として、デスククオンツの果たす役割は非常に大きいと感じました。

正解のないCPMの世界で
最適解を考え抜く

入社4年目に市場業務を離れ、現在まで一貫してCPMに携わっています。CPMはクレジットポートフォリオマネジメント(Credit Portfolio Management)の略で、貸出債券などのリスクをリスク移転取引(売却やクレジットデフォルトスワップなど)を活用してコントロールするものです。最近では、貸出資産の価格付けやバランスシート上の資産の入れ替えにより、単なるリスク分散ではなくROE/株主価値向上を通して経営をより高度化する枠組みとしても活用されています。
たとえば原油価格などが大きく下落した場合、当行の貸出資産の与信リスクがどれほど高まるのか、それが与信ポートフォリオ全体にどう影響するのかを分析してヘッジ戦略を検討、一時的避難も含めいくつかの選択肢を提案します。実際、当行では取り組んだことのない新商品を用いたヘッジ取引の導入を進めたことがあり、印象に残っています。特殊な商品性を持つものだったのですが、当時高まっていた与信集中リスク削減のため是非とも導入したいものでした。その商品性やヘッジ効果・意義を関係各部に丁寧に説明することから始め、当行マネジメントの意向も受けて、異例のスピードで導入することができました。
CPMは銀行の中で比較的新しい部門です。従来は、極端な言い方をすればローンを実行したら貸しっぱなし、という世界でした。しかし、現在は売却を前提にローンを実行したり、貸出先の信用リスクがどう変動しているのかを逐次見ながら、与信管理をし、銀行全体でマネジメントすることが必要になっています。CPMに正解はありません。リスク管理に重点を置くこともできるし、逆にフロント寄りでビジネスとしていかに伸ばしていくのかと考えていくこともできます。CPMという新しい分野への挑戦を通して、全行的な観点や当行の向かう方向を学びながら、何が最適解なのかを日々探っています。

山下 麗人

これまでの知見を総動員して
CVAのシステム開発に取り組む

現在はデリバティブ取引に掛かる信用リスク評価の管理態勢高度化のため、新たなシステム開発に取り組んでいます。具体的にはCVA(Credit Valuation Adjustment:信用評価調整)を計算するシステムの構築です。長期の開発期間を投じた大きなチャレンジで、いよいよ終盤を迎えています。CVAは、従来のデリバティブの数理モデルには含まれていなかった取引相手の経営破綻のリスクを計量化するものです。取引相手のデフォルト確率をいかに算出し信用リスクに対する時価調整をどう進めるのか、CVAをどうマネージしていけば、安定的な財務が実現するのか――今、世界のあらゆる金融機関がホットなテーマとして取り組んでいるものであり、私自身、これまで自分が当行のキャリアの中で得てきた知見を総動員し、市場の知識も駆使して、どういうシステムであるべきかを考えています。難しい判断を迫られることも数多くありますが、日々成長を実感しています。
入行から10年、多くのチャレンジをさせてもらいました。歯を食いしばったこともありましたが、振り返れば楽しかった。これからも、積み重ねてきた経験を活かし当行の成長に貢献していきます。